【住人の声】とまりいえから栄村に本格移住。児玉さんへのインタビュー
- Shinpei Sato
- 4月17日
- 読了時間: 7分
更新日:4月20日

こんにちは!とまりいえ管理人のしんぺー(@shinpei_sakae)です!
1年ぶりの更新になります。
更新してない間も色々ありましたが、
新年度はできれば毎月、最低2ヶ月に一度は更新していければと思ってます。
さて、今回の記事も
「とまりいえの住人さんへのインタビュー」
です!
とまりいえってどんな感じ?
来るの迷ってるんだけどどうしよう?
そんな方へ参考になればと思います!
今回インタビューを受けてくれたのは、
2025年の冬から栄村で一人暮らしを始めた児玉さんです!
それではいってみましょう!
児玉さんの簡単なプロフィール
年齢:30代
前職:公務員
とまりいえに滞在した期間:2023年10月-2024年12月
とまりいえに来る前にいた場所:秋田市
とまりいえに来たきっかけ
―― 児玉さんは、もともとどういう経緯でここに来たんでしたっけ?
児玉さん(以下敬称略): 正直、ネガティブな理由もたくさんあって、一言では言い表せないくらい色々ありました。ただ、学生の頃から「農的な暮らし」には漠然とした憧れがあったんです。
そんな中、Xでしんぺーさんの投稿を見つけて、似たようなことをやっている人はいろいろいたけど、一番信頼できそうな方だったので、ここに来てみることにしました。
――それは嬉しい言葉ですね、ありがとうございます!
当時の児玉さんはどんな状況でした?
児玉: ちょうど公務員の仕事を辞めて、秋田市で一人暮らしをしていました。学芸員みたいなことをしていたんですが、どうしても大きな組織に合わなくて。辞めたことをきっかけに、以前から興味があった「農的な暮らし」を探し始めた感じですね。
体験で来たときの印象
―― ここには最初、7月に体験で来てくれましたよね。どんな印象を受けました?
児玉: その時は他に一人住人さんがいて、いろいろ話をしたのは覚えています。それと、都会では暑さが厳しい時期だったけど、ここではエアコンなしでも過ごせたのが印象的でした。雨が降った後なんかはすごい涼しくて気持ちよかったです。
―― 確かに栄村は夏でもきほん扇風機で生活できちゃいますからね(笑)
その体験の1週間はどんなふうに過ごしていましたか?
児玉: 農業には興味があったけど、ちょうどトマト収穫の仕事にタイミングが合わず、何をしていたか正直よく覚えていません(笑)。でも、この場所の雰囲気を感じながらゆっくり過ごしていました。
――そうですか(笑)
それでも、その後ウチに戻ってきてくれたので、僕としては嬉しかったですよ!

とまりいえでの生活について
―― 実際にここでの生活はどうでした?
児玉: まぁ人生の中で、こんなに食が充実していることはなかったですよ。秋田だって田舎ですけど、それでも都市部に住んでいれば基本的にスーパーで食材を買っているんです。ところがここでは村の人が作った、顔の見える野菜や自分で作ったものを食べている。基本的には「土地のもの」「旬のもの」なんです。そうすると、やっぱり味もいいですよね。それと、味自体もそうなんですけど、誰が作ったかという文脈まで考えると、やっぱり今まで生きた中で一番充実してると感じるんです。
―― なるほど、食が充実していたと。
児玉: はい。それに、世間ではあれだけ「米がない」「食べ物が高い」と言われていた時期でも、僕はスイカを腹が膨れるほど食べていましたから(笑)。作りすぎたものをみんな分け合っていて、食べ物が溢れていたんです。

―― 共同生活に関してはどうでしたか?
児玉: 申し訳なさも感じつつ、すごくありがたかったですね。僕は正直だらしない人間なので、ここを気づかない、やっていないといものは結構ありました。ただ裏を返せば、掃除や片付けをせざるを得ない環境になったのは、ある意味鍛えていただいているかなと。
それと共同生活という意味では、ここはとにかく情報量が多い。もちろん学歴で人間は決まらないけど、すごい高学歴の人が集まったり、その他にもすごいバックグラウンドを持っている人が来る。自分には無理だし想像すらできないような生き方をしてきた人たちの話をタダで聞ける。一応都市であるはずの秋田市で役所勤めを続けていたら、一生聞けなかったような話を山奥で聞けるっていうのが面白いですね。もちろん村に元々住んでいる方々の話を聞けるのが一番ですが。
―― 逆に「これは合わない人もいるだろうな」という点はありますか?
児玉: 大きく二つありますね。まずさっき言った通り、人の入れ替わりが激しく情報量が多いので、そういうのが苦手な方はいると思います。それはシェアハウス内での話。
もう一つは、やはり田舎って「飛び込んでなんぼ」の世界なので、なにかしたいと思ったら、シェアハウス外にも積極的に関わりにいかないといけない。もちろん、その飛び込んだ先には必ず何かが返ってきますけどね。
その話をして思い出したんですけど、他の住人さんも言っている通り、ここは山奥ニート系のシェアハウスなのに、みんな活動的ですよね。
――たしかにそうですね。自分も始めたときはこんなにアクティブ系にするつもりはなかったんですが(笑)

――他に「合わないなぁ」みたいなことありますか?
僕は元が田舎なので全然気にしないけど、カメムシを気にする人は多いみたいです。でも確かに、思った以上にはいますね。
転機となったKさんとの出会い
―― ここに来てから1年経ちましたが、今の状況を教えてください。
児玉: もともと曖昧な状態で来たんですが、周りの人たちのおかげでだんだん方向性が定まっていきました。
―― 周りの人というと、僕たちが一番近いかもしれませんが、他にどんな人がいましたか?
児玉: やはり近所の農家のKさんですね。僕が仕事も何もない状況を見かねて、「児玉くんはズッキーニをやったらいい」と声をかけてくれたんです。あれは思い返すと一番大きな事で、それがなければ今の自分はなかったですね。それに、Kさん自体が村の中ではハブのような人だから、そこからいろんな人と繋がることができました。
――児玉さんは自分で動いて、どんどん人脈を作っているように見えましたよ。やっぱり何かしら行動している人には、村の人も声をかけやすいですよね。
児玉:ありがとうございます。それとズッキーニ以外にもいくつかの村の施設で雇ってもらったのですが、特にこらっせ(歴史文化館・公民館)の仕事と活動には深く関わっています。それについてここでは詳しく話しませんが、後述のとおり栄村の歴史や文化は農業の付加価値になると考えています。

今後の展望
―― では、今後のことについて教えてください。
児玉:まず、野田沢集落の方々をはじめとして多くの皆さんのおかげで家を見つけることができたので、今後は独立して生活していきます。もちろん、とまりいえとの関係は続けつつですが。
そして、農をベースにして年間でコンスタントに稼げるようにしたいと考えています。ズッキーニ栽培を軸にして、まずはその収量増を目指します。そのほか村の個性が出る作物を栽培したり、春には山菜を道の駅に出したり、前職で得た知識等も活かして、栄村産の食材を使った土偶クッキーなどの商品開発もチームで目指しています。
さらに、栄村のスモールメリットは「人の顔が見える農業」につながると思っています。また、ここは三大都市圏の中間に位置しているので、例えば「体験農場」のようなアクティビティの提供等、農業に様々な価値を付加しやすいと思っています。栄村の立地特性を活かした農業を目指していきたいです。
今現在形にできていることは非常に少ないですが、少しずつ目標を形にしていき、それらのつながりで自分の暮らしを成り立たせる。さらにその結果として村に経済的な恩返しができたらいいなと思っています。
―― 最後に、とまりいえに来ることを考えている人に何かありますか?
児玉:当時を思い出すと、しんぺーさんも含めネットでの繋がりから始まる関係なので少し怖かったです。山奥でのシェアハウスというのも、世の中に確立された仕組みではないですし。そのようなものに飛び込むのは、自分としても勇気のいる選択で簡単にやれとはいえません。ただ、一度やってみるのも一つのやり方なんじゃないか、とは思います。
――いい話を聞けました!児玉さん、ありがとうございました!
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